ラジオディレクターの涌井慎と申します。
RenSミュージックスクールと特別深い関係はありませんが、
こうしてコラムを執筆させていただけているというのは、
何かしらの需要があるのだと信じています。信じさせてください。
バンド活動の恩恵
誰も興味ないかもしれませんが、
私はその昔、「ザ☆マジシャンズ」というバンドで歌を歌っていました。
いまでもたまに「マジシャンズ、好きでした」という稀有な方にお会いすることがあり、
それが会話のきっかけになったりします。
社会に出るとこういう「きっかけ」を見つけることに苦労する場合も多々ありますので、
一つの「きっかけ」になるという、ただそれだけでも、
バンドをやっていてよかったなと思うわけです。
バンド活動をしている学生諸君、
あなたのその活動は大学を卒業したあと、
思いも寄らない形であなたのもとへ還ってくるかもしれません。
オリジナルは作ったやつが一番上手い
さて、唐突ですが、私は以前、
京都の経済界の偉い人が集まるパーティーで、
弾き語りをしなければいけない機会がありました。
「弾き語り」といっても、私は歌はそこそこ歌えるものの、
ギターは「F」をうまく押さえられないレベルの腕前しかありません。
そんな私が弾き語りを披露するためには、
「オリジナル」を弾き語るしかないのです。
「オリジナル」なら、どれだけ下手くそでも、
私の「オリジナル」なんだから、私が一番上手いのです。
(この理屈はかつて、『HEY!HEY!HEY!』という音楽番組で、
松山千春さんが力説していたもので、
私は妙に納得してしまい、いまだにとても大切にしている理屈です)
ところがこの時は会場にいる100名を越えるオーディエンスが、
すべて京都の経済界の偉い人たち。
私の普段の活動をご存知の方も、興味をお持ちの方もおられません。
そんな人たちの前で、オリジナルを弾き語っても、誰にも何も伝わりません。
案の定、私のステージは 会場を白けさせることすらできず。
私のことなど誰も見向きもせず、皆、お酒を飲み、語り合っているだけでした。
価値観の多様性
ライブハウスでの活動なら、
オリジナルの質を上げていくだけでもよいのかもしれませんが、
所変われば、どこの馬の骨ともわからない人間の作ったオリジナルソングなど、
なんの価値もありません。
いや、「その価値を見出してくれる客が一人もいないステージ」
というのも存在するのです。
世界は広い。
自分が絶対と思っている価値観が、
所変われば、屁のような存在であるということに気づかされます。
一つの価値観に固執することなく、いろんな可能性を試してみましょうね。